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市民公開講座

東日本大震災からの復興と将来への展望:神経科学による心理的ストレスの理解とメンタルヘルス・ケア

開催日: 2023(令和5)年8月5日(土)13:30-16:00
会 場: 東北大学星陵キャンパス星陵会館 星陵オーディオトリアム2階 講堂(下記地図のB10の建物)
宮城県仙台市青葉区星陵町2-1
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/profile/campus/01/seiryo/areab.html
※オンライン配信はありません。
対 象: 高校生・大学生および一般の方
参加費: 無料

好評につき登録受付延期中!8月4日(金)正午まで。定員になり次第締切となります。

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開催趣旨

第46回日本神経科学大会を、2023年8月に、東日本大震災の被災地のひとつであった宮城県仙台市内で開催する。震災後11年を経た今、被災地における産業や経済活動は回復しつつあるものの、被災住民の心理的ストレスへの対策は今なお大きな課題である。隣接する福島県では東京電力福島第1原発事故との複合災害となり、その住民のメンタルヘルスの問題には独自の性格がみとめられる。一方、近年、目を見張る神経科学やデータサイエンスの発展、進歩があり、科学的エビデンスに基づく心理的ストレスへの対策を可能にしつつある。その中で、心理的ストレス発生のメカニズムやプロセス、あるいは増強因子などについて東日本大震災からわれわれはなにを学んだのか、そしてその教訓を生かして、速やかかつ安全に心身の健康を回復するために、今準備できることはなにか、徐々に明らかになってきている。さらに、このような災害後のメンタルヘルスへの科学的アプローチは、コロナ禍やロシアのウクライナ侵攻など、今まさに世界で生み出されている苦難に対する市民のレジリエンスの理解を含めて、現代社会における私たちの共生のありかたに新たな視点を与えるだろう。本市民公開講座は神経科学学会のアウトリーチとして、東日本大震災からの復興と将来への展望を、科学的視点で考え、情報発信するものであり、被災者はじめ一般市民の方々の、復興と共生への歩みに大きく資するものと考えられる。

プレゼンター

トラウマ記憶を消去する

喜田 聡
東京大学大学院農学生命科学研究科応用生命化学専攻

金沢生まれ。1989年に東京大学農学部を卒業し、そのまま大学院に進学して1994年に博士号を取得した。1996年に米国コールドスプリングハーバー研究所に留学して記憶研究を開始した。帰国後は東京農業大学に着任して教授を経て2019年より現職。記憶のメカニズムの基礎研究を進めてきた。さらに、医師免許を持たない基礎研究者であるものの、精神疾患研究にも従事し、文科省科学研究費(新学術領域)の領域代表を務め、心的外傷後ストレス障害(PTSD)のメカニズムの理解と治療法の開発を試みている。

災害メンタルヘルス支援体制向上のために求められる神経科学の発展

富田 博秋
東北大学大学院医学系研究科精神神経学分野

1989年 岡山大学医学部卒、同大学神経精神医学教室入局
1995~1997年 岡山大学大学院医学研究科修了後、兵庫県・高岡病院勤務
1997~2000年 長崎大学・医学部・人類遺伝学教室
2000~2006年 カリフォルニア大学アーバイン校医学部・精神医学講座
2006~2012年 東北大学大学院 医学系研究科 精神・神経生物学分野 准教授
2011年3月~現在 東日本大震災以来、宮城県を中心に被災地の精神保健支援活動に従事
2012年4月~現在 東北大学 災害科学国際研究所 災害精神医学分野 教授
東北大学 東北メディカル・メガバンク機構を兼任
2018年12月~現在 東北大学 大学院医学系研究科 精神神経学分野 教授

専門家の心のケアって何だろう?

米倉 一磨
NPO法人相双に新しい精神科医療保健福祉システムをつくる会、
相馬広域こころのケアセンターなごみ

航空自衛官、陸上自衛官を経験し、福島県南相馬市の精神科病院で10年間看護師として勤務。東日本大震災の福島第一原子力発電所事故で福島県相双地区すべての精神科病院が休診となり、平成23年3月29日より福島県立医科大学こころのケアチームにボランティアとして参加。相双保健福祉事務所で臨時勤務として同活動に従事し、平成24年1月よりNPO法人新しい精神科医療保健福祉システムをつくる会(通称なごみ)、相馬広域こころのケアセンターなごみセンター長として勤務。福島県立医科大学大学院 看護学研究科 精神看護学修了。精神科認定看護師。著書に「災害看護と心のケア福島「なごみ」の挑戦」(岩波書店)。

福島原発事故がもたらしたこころへの影響:支援の現場から

前田 正治
福島県立医科大学医学部 災害こころの医学講座、
放射線医学県民健康管理センター 健康調査・県民支援部門長、
ふくしま心のケアセンター 副所長

1984年、久留米大学医学部卒業。同大准教授を経て、2013年より現職。専攻は災害精神医学、精神医学的リハビリテーション。ガルーダ航空機墜落事故(1996年)、えひめ丸米原潜沈没事故(2001年)等で被災者の精神保健調査・支援の責任者を務めた。2014年から現職。日本トラウマティック・ストレス学会会長を2010年から3年間務めた。
現在は福島県立医科大学で災害こころの医学講座を主宰しつつ、福島原発災害被災者の支援や調査研究に従事している。またコロナ・パンデミック以降は、国連常設機関IASCケアガイドラインの翻訳責任者、県内のクラスター発生病院等のメンタルヘルス支援責任者を務めている。編・著書として、「心的トラウマの理解とケア」じほう出版、「生き残るということ」星和書店、「PTSDの伝え方:トラウマ臨床と心理教育」誠信書房、「福島原発事故がもたらしたもの」誠信書房、「東日本大震災とこころのケア:被災医支援10年の軌跡」日本評論社、「遠隔支援スキルガイド」誠信書房、「コロナ禍における医療・介護従事者への心のケア:支援の現場から」誠信書房ほか

主 催: 日本神経科学学会
後 援: 河北新報社/福島民報社/福島民友新聞社
問合せ先: 第46回日本神経科学大会事務局 jns2023@aeplan.co.jp